いにしえ峠道

既に記憶からも遠くなり忘れ去られた峠越えの山道を歩いてます

無名峠(小間見常保から大間見岩垣内に抜ける峠道)

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秋には大イチョウの木が美しい

旧大和村の大和村史に掲載されている周辺の峠道の略図にあった無名の峠道を歩いてみた。

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最初に小間見から登ろうと思い、入口にある諏訪神社周辺を探索してみたが、結構な急斜面の山麓には山道らしい跡が見つからなかったので、仕切り直して大間見側に回り、地図に記載されている点線が続く谷筋を入っていった。

お寺のある集落(岩垣内)の谷筋入り口に車を停め、林道(未舗装)を10分程歩いていくと東向きに流れていた谷が北向きに変わるあたりに出る。

地図ではこのまま東向きに山を越える峠にあたるはずだが、谷向こうの山肌は急傾斜の斜面で山道らしいものは見つからない。

谷筋が北に向く手前(奥が峠地点)

しかし、場所的には間違っていないようで、東面の奥から日差しが差し明るくなっている。いつものように峠をまず見つけることを優先し、なるべく登り安そうな斜面を見つけて取りついた。

斜面を上流から南向きに巻くケモノみち跡がありそれに沿ってあるいたらすぐ緩やかな斜面にたどり着いた。ちょうど峠から西にあたる緩斜面だ。


緩斜面の谷部にははっきりとは残っていないがなんとなく人が歩いたような道跡がある。そのまま峠あたりまで5分程度で着いた。

峠を示す石仏や指標は残されていなかったが、峠の先には山道らしい足跡が北向きに残っていた。

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小間見からの登り口を確かめるために、その道跡にそって北向きに斜面を下りて行ったら、やはりちょうど神社本殿の裏にあたる谷筋に出てきた。峠からはわずか10分程度だ。

最初に同じ場所に来て、見たときには見つけることができなかった山道がやはりあったのだ。(峠探索にはよくあることで、だから峠からたどってみることがもっとも確実な探索となる)

出口の諏訪神社本殿裏

本殿裏の谷(この谷を南向きに山肌を登る)

今は、良い道が小間見から大間見にぐるっと伸びているので、わざわざこの山道を通る人はいないが、昔は、旧飛騨街道から明宝寒水や大和古道の峠を越えて大間見から牛道へ抜け、長滝白山神社に行く山越えの参道だったのかもしれない。

峠道が見つかったので満足して山道を帰ると、どうも山道沿いに椿の木がありちょうど椿の花が咲き終わる頃で、ピンク色の花が落ちている。

昔、熊野比丘尼や白山の白比丘尼が行く道行きに椿の種を植えていったという伝承があるが、もしかしたらこの峠道も比丘尼が歩き、椿の種を落としていったのかもしれないと想像すると何やら有り難い気持ちさえする。(それにしては椿の木が若木すぎるのだが)

山道沿いに残る椿の木