道谷峠(大間見周戸から小間見大ヶ原に抜ける峠)
この峠は昭和初期改定の古地図にも道谷峠と記載されている。
口大間見(旧弥冨小学校の在る場所)から大間見と小間見を遮る山の谷間にある峠だ。
地図で見ても標高差は100m程度と峠道としてはとても楽なものだ。
大間見の本道から円光寺の裏に入ると周戸の谷の分かれ道となり、橋を渡って右に上ると峠に続く道にでる。
少し行くとすぐ谷筋の林道となるので、あまり奥まで行かず車をデポした。
林道をそのまま歩いていくが、豪雨の影響か数か所土砂があふれている箇所がありとても車では入れない。
まっすぐ東に向いていた沢が途中で左(北側)に曲がっているところに出る。
地図を見るとその辺りで山越えとなるはずだが、尾根に向かう道は見当たらない。
尾根を登り切ったあたりから光が差しているので、峠はこの先に間違いないので、取り付きやすい場所を見つけて急斜面を10m程度登とすぐ緩斜面に出た。
その先には、もう一つ尾根筋が現れ他に道らしい跡もないので、尾根に取り付いた。
少し登ってから気が付いたのだが、尾根筋を蛇行して続く旧道跡があった。
やはり、これが峠に続いていた道だったのだ。
峠下まで来ると、林道を通す時に出た土砂で山の間を土羽で埋めている場所があった。
こうなると古道跡は埋まっている可能性があるためとりあえず峠まで登る。
入口の谷筋から途中で山を巻いて登っている林道がこの峠まで来ているのだ。
峠には地蔵が祀られていた。江戸末期または明治初め頃のものか。
峠を確認した後、小間見側のルートを確認するために、林道を下った。
林道は尾根を南にいくつか越えて敷設されていたため、旧道跡を探すために直下の谷筋を下ってみた。
その谷筋は途中から砂防用の排水路工事がされていて、すぐに集落裏に出た。
峠からはわずか15分程度で来られる距離だ。
小間見側の峠道入り口まで来て写真を撮っていたら、地元の方が谷入口まで軽トラで現れたので、気まずい感じで挨拶したら「(峠の)向う側から来たの? ごくろうさまだね!」とこちらが何も言わないのに勝手に了解してくれた。
帰りにも、谷筋を歩いてみたが小間見側の旧道跡はほぼ消滅していた。
峠にもどり、尾根筋を下った道の写真。
古道として残っているのはこの尾根道に刻まれた九十九折の跡だけだ。
既存の街道を通っても1時間もかからず、そんなに遠く離れた地域ではないのだが、30分弱で抜けられるこの尾根道はまさにショートカットのために利用されていたような感じがした。