いにしえ峠道

既に記憶からも遠くなり忘れ去られた峠越えの山道を歩いてます

円空仏師の通った道探索その①(失敗例)

一年ぶりとなる峠探索。
春から夏は暑いし、百姓が忙しい、冬は雪でむり。
そうなるとどうしても春先のこの時期が峠探索の季節になります。

今回は、この地域(諸説ありますが)を拠点として、全国を遊行し霊山霊地を巡り、神仏像を彫像して奉納し歩いた、江戸中期の修行僧、円空さんのその足跡をたどりたいと思いいたったのです。

戦後40年代から全国で始まった円空仏ブームにより、一説には生涯十二万体を制作されたと言われる円空仏の調査発掘が飛躍的に進み、全国で五千体以上の円空仏が確認され、その来歴が明らかにされました。

長良川周辺を拠点として活動されていたため、周辺には多くの円空仏が残されています。
活動の拠点とされていた美並地域をスタート地点として、そこからどのルートで各地に出向いたのかに興味があるのです。

痕跡が一番多く残るのは、美並から東に飛騨川に抜け飛騨や関東に向かうルートですが、近くにたくさんの円空仏が残る、(関市)上之保地域があります。
ここには高澤観音という著名な寺院もあり、円空さんも何度も訪れたと思われます。

美並からは、いわゆる既存ルート(街道)を通るコースもいくつかあるのですが、そこは修行僧としてあまり利用したくない(と思う)。
なのであまり人目につかない山道を利用したのではないかと思うのです。
円空仏が残る場所(一般の民家など)を見ていると結構奥まった場所にある残されていことが多く、きっと地域の人しか知らない山道を越えてきたのではないかと想像するのです。

すでに車道として残る峠道は避けて、地図には残されていない痕跡を探してみたいのです。

今回はほんといきあたりばったり、地図から見て、最短で高沢観音に抜けるルートを歩いてみることにしました。
美並から長良川沿いに国道を下り、洲原神社の先の立花トンネルを越えた左岸を川沿いに遡ると、いくつか東に向かう谷が現れます。
一番南側の谷には既設の林道があり、その道を行けば、高沢観音に抜ける美坂峠にでます。
それでは面白くないので、その北にある漆谷から尾根に登り尾根伝いに御坂峠に抜けるルートを探索してみました。

f:id:peksan:20210215220405j:image
取り付きは歩きやすそうな、中電の鉄塔作業道(道とはいえませんが)をたどってなんとか尾根筋まで上がりました。
尾根筋は笹薮はないものの、近年人が歩いたような痕跡はなく、各所で倒木やヤブに邪魔されました。
途中鞍部などに峠跡の痕跡などないかと注意深く見ましたが、それらしい痕跡はありませんでした。
結局なんの成果も見いだせず、美坂峠に出てしまいました。

f:id:peksan:20210215220447j:image
それよりも、一年間のブランクが思った以上にきつく、二時間のアップダウンでヘロヘロとなり、もうこれ以上山道はギブアップで、結局既設の林道を歩いて戻りました。
f:id:peksan:20210215220755p:image
今回は大失敗だったので、次回はもう少し事前調査をしたうえで歩いてみたいと思います。