いにしえ峠道

既に記憶からも遠くなり忘れ去られた峠越えの山道を歩いてます

現代の鎌倉街道 (幻の鎌倉街道番外編)

美濃飛騨に残る鎌倉街道の残影を求めて縷々書いてきたが、では現代の鎌倉街道はどうなっているのだろうと考えた時、あらたな鎌倉道の姿が見えてきた。

中部縦貫自動車道は、北陸道福井北JCTから東に、勝山から大野を抜け、九頭竜ダムから油坂峠を越えて、東海北陸自動車道白鳥ICに接続し、飛騨へ北上し高山ICから安房峠を越えて信州松本JCTへとつなぐ総延長160kmの高速自動車道である。

現在(2023年3月時点)では、福井勝原ICから油坂IC区間と高山から平瀬料金所区間信濃中ノ湯ICから波田IC区間はまだ未整備であるものの、完成すれば北陸高速道と中央高速道をつなぐ、現代の鎌倉街道と呼べるのではないだろうか。

これは、旧鎌倉街道跡と呼ばれる飛騨越え(安房峠または、野麦峠越え)ルートであると言える。

岐阜県のHPから転載の計画図




とすると、美濃越え(東山道神坂峠越え)ルートはどうなのだろうと考えると、あったありました。
濃飛横断自動車道がそれである。この道は、郡上八幡から東に堀越峠をトンネル貫通し、和良を抜け下呂へと至る道路である。
現在はまだ部分開通の状態だが、23年3月には堀越峠工区の直轄調査結果が発表され、この工区が完成すると、長良川流域と飛騨川流域地域をつなぐ最短ルートが完成することとなる。
さらに下呂から南東に抜け、中津川(リニア駅開設予定)につながれば約80kmの道路となり、まさに現代の鎌倉街道(美濃・神坂峠越え)となるのである。

国土交通省プレスリリースより転載

まあ、これが完成したからと言って何か大きく変わるわけではないだろうけど、現代の地政学や経済学を土台とした道路計画が、意図せず中世の鎌倉街道と同じルートになるという事が興味深いのである。