いにしえ峠道

既に記憶からも遠くなり忘れ去られた峠越えの山道を歩いてます

郡上市内

幻の鎌倉街道を考える③

いにしえ、この街道を通っていた人々の足音をたよりにその姿を想像する。ある意味それは、歴史ロマンである。近世の渡世者の姿から、山を巡る修行者や修験者の姿が浮かび上がってきた。江戸期に全国を修行・巡礼していた旅僧円空もその一人だったに違いない…

母袋と幻の鎌倉街道

母袋を東西に抜けつながる鎌倉街道の概念図 山を越え伸びる、いにしえのハイウェイ 母袋(もたい) それがこの集落の通称として古くから呼ばれている名前です。古い地名には、漢字が定着する以前の地域呼称が含まれていると言われています。その呼び名にどのよ…

幻の鎌倉街道を考える②

服部氏の『峠の歴史学』に記述された、鎌倉街道についての概要は①に書いたが、著書にも書かれているように、過去にもいくつかの資料からその存在が明らかになっている。飛騨・信濃の鎌倉街道については、岐阜県教育委員会発行の『歴史の道・飛騨<野麦・越中>…

幻の鎌倉街道を考える①

服部英雄氏の著作『峠の歴史学』を読んで、その中にも記述のある鎌倉街道について改めて考えてみたいと思う。以前から郡上の北西部の地域に『鎌倉街道』という山越え道の伝承が残っていることについてこのブログの中でも部分的に触れていたが、この書物にあ…

気良峠 郡上市明宝

"気良"と書いてケラと読む。 郡上市の旧明宝村にある集落である。 気良には思い出がある。 郡上にUターンする前に、若者たちのイベントで初めて訪れた場所なのだ。 初めて訪れたその場所は、牧歌的な風景の続くいかにも農村という光景であり、それまで持って…

【番外編】稚児山白山遠望

気持ちはあるのだが、なかなか峠探訪が進まない。今回はその足慣らしとして軽めの登山を試みた。登山というのもおこがましいくらいの山なのだが、たまたまGooglearthで3D地図を見ていたら、近くから白山展望が良さそうな山を見つけたので軽い気持ちで歩いて…

会所洞峠 大和町万場~落部乙原

この峠も古地図には峠名の無い峠道として表記してありましたが、国土地理院地図には峠道の表記がなく、これまでチャレンジすることはありませんでしたが、レーザー地図(ひなたGIS)を見たら峠道が現れていたので登ってみました。 古地図に残る峠道はまっすく…

旧白川街道高鷲からひるがのへの山越え

旧白川街道は郡上白鳥から砺波に抜ける98kmの山道である。 その中でも、ルートが明らかになっていない区間として、高鷲からひるがのの四本杭の区間がある。四本杭とは、美濃と飛騨の国境を示した場所として、近世の逸話が明らかとなっているが、現在その場所…

河内峠からの旧大峠

古峠探索が不発に終わり、このままでは帰れないなと、さらに南にある河内峠を探索してみました。これも国土地理院地図で発見したものです。 この峠までは既設の林道が入っているため、麓からの渡渉探索はやめ、まずは峠位置の確認を優先しました。 古地図に…

古峠(未確認)

国土地理院地図を見ていたら、近くに古峠という峠跡の表示があり、谷道から続く古道跡も表示されていたため、チャレンジしてみた。 この古道跡は、郡上市美並町の北部から東に向けて峠を越え、八幡町野々倉や小那比(おなび)に抜けるための古道である。事前の…

六ノ里から奥大間見へ抜ける峠

この峠も既に地図上には痕跡はなく、"忘れられた峠道"となって久しい。六ノ里は、古来から東西に延びる鎌倉街道の一部と言われており、古くから山越えのルートが発達してきた地域である。現在も、大洞峠を越えて明宝寒水(かのみず)へ抜ける道が現存している…

内ヶ谷峠再訪

美濃と越前の国境に近い、旧内ヶ谷峠への訪問は、今年二月以来二回目となる。二月にはまだ残雪が残り、旧道の確認などは難しい状況だったが、部分的には旧道の存在を確認することができた。今回は改めての旧道調査となった。内ヶ谷峠は旧大和村内ヶ谷の最北…

無名峠(小間見田代から大間見岩垣内に抜ける峠)

昭和初期の地図 昭和初期に改定された国土地理院地図の古地図を見ていたら見つかった名も無き峠道を歩いてみた。郡上市大和町の小間見の奥である田代から大間見の岩垣内に抜ける峠道である。小間見の集落が無くなるあたりから田代林道となる。Uターンできそ…

無名峠(小間見常保から大間見岩垣内に抜ける峠道)

秋には大イチョウの木が美しい 旧大和村の大和村史に掲載されている周辺の峠道の略図にあった無名の峠道を歩いてみた。 最初に小間見から登ろうと思い、入口にある諏訪神社周辺を探索してみたが、結構な急斜面の山麓には山道らしい跡が見つからなかったので…

六ノ里母袋峠(栃洞)

旧道入口の風景 この峠はわたしの峠探索の原点かもしれない。数年前、六ノ里の集落で、唄踊りの聞き書きをしていた時に、「昔は盆踊りがあると、隣村である母袋(もたい)へ下駄で峠を越えて踊りに行った」という話を聞いて、夕方のけっこうな山道をしかも下駄…

口神路峠(仮称)

口神路の白山神社からのロケーション この口神路峠は峠名称が残っていなかったので仮称としていますが、地域では何等かの名称が残っているのかもしれません。峠としての記録は残されていなかったのですが、蛇行する長良川の護岸道(歩危)であるため、近代以前…

檜峠旧道

檜峠は美濃白鳥から越前境を越えて九頭龍川の源流にある石徹白村に行く旧道です。 昭和33年に現在の県道が敷設されるまでは山道の旧道を歩いて越えるしかありませんでした。 しかし、この道は古来より美濃白山信仰の登拝道であり美濃禅定道とよばれ、往古よ…

馬坂峠(大和町兼寄から上神路村に抜ける峠)

馬坂峠は大和町栗巣と神路路をつなげる峠(坂に近いが)だ。今はとても広い舗装路が整備されていて、車なら10分弱で越えられる峠です。新峠は鞍部をさらに30m程掘り込んであるため、走っていると峠という感じはしないが、周りは5~600mの山で囲まれているため…

内ケ谷峠(白鳥町越佐から内ヶ谷に抜ける峠)

内ヶ谷峠は国土地理院の地図にも明記されている峠名です。しかし、道路敷設はされておらず、白鳥町側からは林道(舗装)や途中から作業路が伸びていてますが、その後は谷筋を歩いていく他はありません。この時期はまだ雪に覆われていたため、古道を探すのは困…

東俣峠(大和町上古道旧東俣村から明宝寒水への峠)

東俣峠は国土地理院地図にも記載してある峠道で、舗装路で峠越えすることができる。今回はまだ雪の残る古道跡を歩いてみたため、旧道あとをたどる探索はほぼ不可能ということで、歩きやすそうな場所をたどって峠まで出ることにした。いずれにしてもこの時期…

和那手峠(大和町小間見常保から栗巣西俣村への峠道)

この峠は大和町小間見常保から栗巣西俣村へ抜ける峠道にあるのだが、いずれからも林道が入っていて峠まで車で行くことができる。(現在は和那手からの作業道は工事中で侵入できない)車では侵入できなかったので、集落入口で住民の方にお話を聞いたら、峠まで…

フジモト峠(旧田之畑集落から小駄良西洞村へ)

大和町の中神路にある旧田之畑集落から郡上八幡の小駄良西洞村へ抜けるルートです。城下町の郡上八幡から小駄良街道を北上し、西洞村から峠を越えて神路に抜け、大和町の古道を越え、小間見、大間見を抜けて白鳥町那留から牛道街道へ抜ける古道の一部です。…