いにしえ峠道

既に記憶からも遠くなり忘れ去られた峠越えの山道を歩いてます

六ノ里母袋峠(栃洞)

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旧道入口の風景

この峠はわたしの峠探索の原点かもしれない。
数年前、六ノ里の集落で、唄踊りの聞き書きをしていた時に、「昔は盆踊りがあると、隣村である母袋(もたい)へ下駄で峠を越えて踊りに行った」という話を聞いて、夕方のけっこうな山道をしかも下駄(手に持ってと言ってたかな?)で通ったという峠道の事がとっても気になったのです。



それで、何度か峠探索を試みてみました。
途中まで新道が敷設されているため、山頂までは大した時間もかからず登れるのだけど、どこを歩いても峠跡らしき場所は見つけられなかったのです。

なので今回改めて、国土地理院地図に記入されている旧道(点線)を忠実にたどってみることにしました。

登り口は分かりやすい母袋側からスタートしました。
旧道の入口である谷筋に入ると驚くことに旧道跡がしっかり残っていてビックリです。

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しかし、痕跡が残ってたのはほんの一部で、その先は平行して開設された林道によってすぐにわからなくなっていました。

旧道跡は谷沢を越えて北に向って上っていましたが、その辺りに堰堤が敷設され、谷筋も深くなっていたので、今回は大回りして丸い尾根に取り付きました。
やぶを漕ぎ分け苦労して丸っこい頂上に出てから尾根伝いに西に下ってゆきました。

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地図に書いてある峠あたりに来ても、峠の痕跡らしいものは何一つ見当たりません。

しかたなく、その旧道跡をたどって谷筋を六ノ里側に降りてゆきました。
谷筋はヤブがひどく植林されたヒノキの倒木も多く歩きにくかったのですが林道まで下り、新ためて登り安そうな尾根筋を直登しました。

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尾根筋を山頂近くまで行くと、北方の空が開け遠く白山の山々が輝いています。

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そこから、母袋側へこんどは地図どうりに降りてみることにしました。
旧道は谷筋につづいていたようですが、どこにも道らしい痕跡はありません。
しかも、谷筋は水は流れていないもののガレ場で歩きにくいのです。

 

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谷筋がどんどん狭くなり深くなってきたので、上流側へ迂回していったら、最終的に両側が深く崩れた尾根筋となっていました!!


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いまさら引き返すわけもいかず、滑りやすい痩せ尾根を慎重に降りました。
なんとかスタート地点の谷沢にたどり着き、沢を越えて登り口に戻ることができました。

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結局どこを通っても、旧道跡は見つからず歩きにくい場所ばかりでした。

収穫は、白山の遥拝と、沢の一枚岩の滝(写真上)と、鹿の角(頭蓋骨付)でした。

そのうち新道が峠を越えて開通し、もはやそんな山道があったことさえ忘れられてしまうのでしょうかね?残念です。